寝台特急「北斗星」は、青函トンネル開通により運行を開始した、上野、札幌間を走る寝台特急列車です。この間の走行距離は約1214Kmで所要時間は16時間という、今ではあまりみることのない在来線の長距離列車でもあります。この列車には食堂車のはかに、ロビーカー、シャワールームも完備されており、女性の一人旅でも安心して利用できます。最高級グレードのA寝台ロイヤルにおいては、室内でのシャワー、トイレの完備は勿論のこと、ドリンクサービスやルームサービスをも利用可能です。そのため、北斗星は通称「走るシティホテル」と呼ばれています。北斗星は、1988年3月13日に青函トンネル開業と同時に誕生した寝台列車です。これにより、本州から北海道への直通運転を実現しました。この列車は、上野から札幌を1日2往復運転し、牽引機関車のバラエティーにも人気が過熱し、沢山のファンを生み出しました。高速バス業界が寝台列車を押さえ込んでいる現在も、個室は勿論、シーズン中にはすべての切符が入手困難になり、開業当時の人気を維持し続けています。また、冬季には、スキー客を乗せて北海道内函館本線ニセコ経由の通称「山線廻り」で運行する『北斗星ニセコスキー』も運転されます。
2010年は電子書籍市場が注目を集めた年だった。しかし、コンテンツをめぐる動向を見ると、電子書籍の普及には解決すべき課題が山積している。第2回では、コンテンツの“利権”をめぐる、各業界の思惑に注目していきたい。
【詳細画像を含む記事】
双方丸く収めて消費者は置き去り…
パートナー企業が増えるデメリット
第1回で記したとおり、筆者はソニーやシャープなどの“電気屋”では、コンテンツ(書籍)を集められないと考えている。
書籍の著作権は、基本的に作者という個人に帰属しており、出版社は版権を持つに過ぎない。しかし、巨大エレクトロニクス企業であるソニーやシャープは、個人作家を相手に版権ビジネスを行うノウハウを持っていない。
この事実は、ソニーやシャープ自身が一番よく理解しているだろう。ソニーは凸版印刷および朝日新聞社と、シャープがTSUTAYAチェーンを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と提携しているのは、こうした部分を補うためだと考えられる。
ソニーとシャープ以外に、わが国で電子書籍サービスを展開しようとしているのは、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルなど、携帯キャリアが目立つ。こちらも元々の事業がソフトウェア流通と出版だったソフトバンクを除けば、出版とは必ずしも近しい関係とは言い難い。NTTドコモは大日本印刷と提携しているし、KDDIはソニー、凸版印刷、朝日新聞社と同一のグループを形成している。
大日本印刷と凸版印刷は、印刷業を通じて出版社と結びつきが強いだけでなく、液晶用のカラーフィルタや半導体製造用のフォトマスクなどの事業を通じて、エレクトロニクス企業との結びつきも深い。大日本印刷は丸善やジュンク堂といった大型書店も傘下に持っている。エレクトロニクス企業が電子出版事業を行うに際し、こうした大手印刷業者は最も適したパートナーだと考えられる。
エレクトロニクス企業や携帯キャリアが電子書籍分野に進出するために、そのノウハウを持つパートナーが欠かせないのは事実だろう。しかし、こうした提携は必ずしもプラスになるばかりではない。なぜなら、提携による複数企業の事業展開は、1社単独での事業に比べて、経営判断が遅くなる。参加するパートナー間の意思統一に時間がかかるからだ。
さらに、エレクトロニクス企業や携帯キャリアが出版/書籍流通サイドと提携することは、消費者(読者)と電子書籍の“距離”を広げる可能性をはらんでいる。
例えば電子書籍の価格設定などにおいて、消費者の多くは紙の書籍より明らかな低価格を望んでいる(と思われる)。しかし、採算性の不透明な電子書籍事業に対し、出版社の多くは“保守的”な、あるいは既存の出版事業への影響を最低限にとどめる価格設定を望むと考えられる。
同様に、消費者による利用の自由度や利便性を決めるDRM(Digital Rights Management:デジタル著作権管理)の設定に関しても、出版社はより保守的な方向へ向かおうとするだろう。出版社との提携、あるいは関係を深めることで、電子書籍事業の方向性も、コンテンツの版権を持つ側(出版社)が有利なように向けられることは目に見えている。
DRMフリーで市場の拡大を狙うか
守りを固めて独自路線を取るか
実はこうした展開は、すでにデジタル音楽プレイヤーで経験済みだ。
1999年9月、ソニーは「メモリー スティック ウォークマン」を発表した。これは米国AppleがiPodを発表する2年も前だ。しかし自社に音楽部門を持つソニーは、独自コーデックと厳しいDRMによる利便性の低さから、成功を収めることができなかった。つまり、自社に音楽部門を持つことが、優位には働かなかったわけだ。
一方AppleのiPodは、ユーザーにとって許容可能なDRM政策と、低価格の音楽ダウンロードによって、デジタル音楽市場の覇者となった。電子書籍においても、同じ轍を踏むのではないかと懸念の声が挙がっても不思議ではない。
2年遅れてデジタル音楽プレイヤー市場に参入したAppleが、北米で大きな成功をおさめ、やがてわが国の音楽プレイヤー市場をも席巻したように、米国Amazon.comなどの外資企業が、わが国の電子出版市場――ゆくゆくは出版市場全体――を牛耳ってしまうのではないかとの恐怖感が、わが国の出版業界にあるに違いない。
2004年に誕生したソニーの電子書籍端末である「LIBRIe」は、買い取りの端末に対して、コンテンツはレンタルのというアンバランスなビジネスモデルだったため短命に終わった。メモリー スティック ウォークマンの失敗を経験しているソニーが、成功のカギはコンテンツの“取り扱い方法”が握るという事実を知らなかったハズはない。「知っていてもどうにもならなかった」と考えるべきだろう。
今回ソニーやシャープの電子書籍端末は、コンテンツは買い取りであり、レンタルではない。コンテンツの買い取りを出版社側が認めた理由の1つは、AppleやAmazon.comといった黒船への恐怖からだと推測する。
出版社は「DRMフリーの楽曲を低価格で提供せよ」と音楽業界に要求する外資の主張を目の当たりにしている。もちろんそれは消費者の希望に沿った要求であり、それによる市場全体の拡大を狙っていることは間違いない。しかし、コンテンツの著作権/版権を持つ音楽業界側がその要求を聞き入れるかというと、それはまた別の話だ。
いずれにしても、交渉相手として外資系企業はタフである。電子書籍市場に参入している出版社や印刷会社は、外資系による国内電子書籍市場の支配は避けたいと考えているはずだ。外資系企業に市場を牛耳られるぐらいなら、国内のエレクトロニクス企業や携帯キャリアと組んだマシだと思っているのではなかろうか――。
「外資系の電子出版事業者が米国での成功を足がかりに、次は日本を攻めてくる。そうなる前に、国内企業で国内市場の守りを固めましょう」という口説き文句は強いメッセージだ。そうでなくても最近の出版業界は青息吐息である。こうした背景が、電子書籍事業者が乱立する理由の1つだと考えている。
次回(1月18日更新予定)は電子書籍普及を阻害するもう1つの要因「再販価格維持制度」に目を向けてみたい。
(元麻布春男)
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2010年は電子書籍市場が注目を集めた年だった。しかし、コンテンツをめぐる動向を見ると、電子書籍の普及には解決すべき課題が山積している。第2回では、コンテンツの“利権”をめぐる、各業界の思惑に注目していきたい。
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書籍の著作権は、基本的に作者という個人に帰属しており、出版社は版権を持つに過ぎない。しかし、巨大エレクトロニクス企業であるソニーやシャープは、個人作家を相手に版権ビジネスを行うノウハウを持っていない。
この事実は、ソニーやシャープ自身が一番よく理解しているだろう。ソニーは凸版印刷および朝日新聞社と、シャープがTSUTAYAチェーンを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と提携しているのは、こうした部分を補うためだと考えられる。
ソニーとシャープ以外に、わが国で電子書籍サービスを展開しようとしているのは、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルなど、携帯キャリアが目立つ。こちらも元々の事業がソフトウェア流通と出版だったソフトバンクを除けば、出版とは必ずしも近しい関係とは言い難い。NTTドコモは大日本印刷と提携しているし、KDDIはソニー、凸版印刷、朝日新聞社と同一のグループを形成している。
大日本印刷と凸版印刷は、印刷業を通じて出版社と結びつきが強いだけでなく、液晶用のカラーフィルタや半導体製造用のフォトマスクなどの事業を通じて、エレクトロニクス企業との結びつきも深い。大日本印刷は丸善やジュンク堂といった大型書店も傘下に持っている。エレクトロニクス企業が電子出版事業を行うに際し、こうした大手印刷業者は最も適したパートナーだと考えられる。
エレクトロニクス企業や携帯キャリアが電子書籍分野に進出するために、そのノウハウを持つパートナーが欠かせないのは事実だろう。しかし、こうした提携は必ずしもプラスになるばかりではない。なぜなら、提携による複数企業の事業展開は、1社単独での事業に比べて、経営判断が遅くなる。参加するパートナー間の意思統一に時間がかかるからだ。
さらに、エレクトロニクス企業や携帯キャリアが出版/書籍流通サイドと提携することは、消費者(読者)と電子書籍の“距離”を広げる可能性をはらんでいる。
例えば電子書籍の価格設定などにおいて、消費者の多くは紙の書籍より明らかな低価格を望んでいる(と思われる)。しかし、採算性の不透明な電子書籍事業に対し、出版社の多くは“保守的”な、あるいは既存の出版事業への影響を最低限にとどめる価格設定を望むと考えられる。
同様に、消費者による利用の自由度や利便性を決めるDRM(Digital Rights Management:デジタル著作権管理)の設定に関しても、出版社はより保守的な方向へ向かおうとするだろう。出版社との提携、あるいは関係を深めることで、電子書籍事業の方向性も、コンテンツの版権を持つ側(出版社)が有利なように向けられることは目に見えている。
DRMフリーで市場の拡大を狙うか
守りを固めて独自路線を取るか
実はこうした展開は、すでにデジタル音楽プレイヤーで経験済みだ。
1999年9月、ソニーは「メモリー スティック ウォークマン」を発表した。これは米国AppleがiPodを発表する2年も前だ。しかし自社に音楽部門を持つソニーは、独自コーデックと厳しいDRMによる利便性の低さから、成功を収めることができなかった。つまり、自社に音楽部門を持つことが、優位には働かなかったわけだ。
一方AppleのiPodは、ユーザーにとって許容可能なDRM政策と、低価格の音楽ダウンロードによって、デジタル音楽市場の覇者となった。電子書籍においても、同じ轍を踏むのではないかと懸念の声が挙がっても不思議ではない。
2年遅れてデジタル音楽プレイヤー市場に参入したAppleが、北米で大きな成功をおさめ、やがてわが国の音楽プレイヤー市場をも席巻したように、米国Amazon.comなどの外資企業が、わが国の電子出版市場――ゆくゆくは出版市場全体――を牛耳ってしまうのではないかとの恐怖感が、わが国の出版業界にあるに違いない。
2004年に誕生したソニーの電子書籍端末である「LIBRIe」は、買い取りの端末に対して、コンテンツはレンタルのというアンバランスなビジネスモデルだったため短命に終わった。メモリー スティック ウォークマンの失敗を経験しているソニーが、成功のカギはコンテンツの“取り扱い方法”が握るという事実を知らなかったハズはない。「知っていてもどうにもならなかった」と考えるべきだろう。
今回ソニーやシャープの電子書籍端末は、コンテンツは買い取りであり、レンタルではない。コンテンツの買い取りを出版社側が認めた理由の1つは、AppleやAmazon.comといった黒船への恐怖からだと推測する。
出版社は「DRMフリーの楽曲を低価格で提供せよ」と音楽業界に要求する外資の主張を目の当たりにしている。もちろんそれは消費者の希望に沿った要求であり、それによる市場全体の拡大を狙っていることは間違いない。しかし、コンテンツの著作権/版権を持つ音楽業界側がその要求を聞き入れるかというと、それはまた別の話だ。
いずれにしても、交渉相手として外資系企業はタフである。電子書籍市場に参入している出版社や印刷会社は、外資系による国内電子書籍市場の支配は避けたいと考えているはずだ。外資系企業に市場を牛耳られるぐらいなら、国内のエレクトロニクス企業や携帯キャリアと組んだマシだと思っているのではなかろうか――。
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